地球誕生、生命の登場、恐竜の繁栄と絶滅、そして人類の誕生…。進化の歴史について、「むずかしい!」と敬遠している方もきっといるはず。
けれど長い地球上の歴史も、絵本で読むと理解しやすいものがいっぱい!
数多くある「進化の絵本」の中からオススメをご紹介します。
数億年前から現在まで存在している「生きた化石」と呼ばれる生きものたちが、どれだけスゴイのか! 進化の歴史を知ると見えてくるはず。
わかりやすく学ぶ進化の絵本
「子どもにも地球上の歴史を学んでほしい」「でもそもそも自分もよくわかっていない…」
そんな親御さんの手助けになるのは、やっぱり絵本!
進化の概要を掴むのに適した絵本から、ひとつの種類を深掘り絵本まで、幅広い進化の絵本をご紹介します。
お気に入りの1冊が見つかりますように!
オススメDVD付き図鑑
まずは図鑑のDVDでイメージを掴むと、その後読む絵本の理解がぐっと深まります。
大むかしの生きもの(講談社の動く図鑑MOVE)
生き物の進化の歴史を学ぶなら、こちらのDVDがオススメ!
NHKスペシャルなどで使われた映像をもとに、子どもでも理解しやすいように編集されています。
生命の歴史を順番に追いながら、「どうやって生物は陸に上がったのか」「恐竜繁栄の裏で生き延びた哺乳類の技」など、わかりやすく解説してくれます。
大迫力の古代生物のCG映像に、子どもはもちろん大人も夢中に!
進化の歴史を学ぶ
何億年前の生き物と言われても、その時代背景がよくわからないという方へ。
最初にざっくりと「地球上の歴史」の概要を掴める絵本をご紹介します。
13800000000ねん きみのたび
進化の絵本を読むならまずはこれ!
「きみ」がここに誕生するまで、地球が生まれ生き物が進化していく過程を描いた1冊。
最初から最後まで「きみ」という人間にスポットを当てているので、生命が海にいた時代は「きみ」はどういう姿だったのか、恐竜が繁栄していた時代は「きみ」はどうやって生き延びたのか。
すべて1本の軸になっていて、とてもわかりやすく進化の歴史を学ぶことができます。
国立科学博物館の地球館で人気の映像「地球史ナビゲーター」を、わかりやすく編集したのがこちらの絵本!
「地球史ナビゲーター」は、国立科学博物館のYouTubeチャンネルでも公開されています。
国立科学博物館ではこの映像が大スクリーンで投影されています。
ちきゅうのかいだん
不思議な扉を開いたそこにあったのは、地球46億年を旅する「ちきゅうのかいだん」!
階段を下っていくと、現代から地球誕生の頃まで、どんどん昔へと進んでいきます。「時間を遡る」という見せ方が、逆に新鮮な進化絵本。
マンモスが出てきてようやく100万年前、見たことがない生物が現れてもまだ4800万年前…。階段の一番下、46億年前がどのくらい遠いの!?
階段を下ることで、その途方もない時間の長さを体感できます。
階段のあちこちに、絶滅した生き物たちがたくさん登場します!
進化の迷路
香川元太郎さんの「迷路シリーズ」より「進化の迷路」。
迷路を楽しむと同時に、学びにもつながるのがこの「迷路シリーズ」の特徴!
「進化の迷路」では「三葉虫の入り江(カンブリア紀・オルドビス紀)」や「は虫類の森(三畳紀)」などの迷路を進みながら、そこに描かれた古代生物を学ぶことができます。
迷路だけでなく隠し絵やクイズなどもあるので、何度もページを戻って楽しめるのがうれしい!
古生代水族館
「古生代の生き物が見られる水族館があったら」という夢を実現した空想絵本。
男の子たちが古生代水族館を訪れたという物語の中で、恐竜が現れる前までの多種多様な生物が、時代順に紹介されています。
古生代水族館のミュージアムショップやレストランメニューなどの空想も、心が躍る1冊!
作者のこたさんは現役美大生で、この絵本が絵本作家デビュー作品です!
わけあって絶滅したけど、すごいんです。
人気シリーズ「わけあって絶滅しました」が絵本になって登場!
絶滅動物じまん大会の日、数多くの絶滅動物がやってきて、自分たちのすごいところを披露します。
この絵本のイチオシポイントは、巻末についている絶滅年表!
どういう時代がどういう順番で進むか一目瞭然で分かり、それぞれの時代の簡単な説明と代表的な生物が掲載されています。これが本当にわかりやすい!
絶滅年表のために購入する価値があるくらい、子どもにも大人にもわかりやすい年表です!
ながいながい骨の旅
生命の進化を辿りながら、骨を持たなかった生物がどのように骨を持つようになったのか、「骨」に焦点をあてた進化絵本。
「すべての生命は海から産まれた」というフレーズはよく耳にしますが、まさに生命が陸に上がれた理由のひとつは骨!
骨の役割とともに、この絵本を読み終わる頃には「骨の中に海がある」という言葉の意味が分かります。
骨と海がここまで関係しているとは思わず、目からウロコだったオススメの1冊!
せいめいのれきし
「進化の絵本」といえば欠かせないのがこちら、「せいめいのれきし」。
これまでの命のリレーを、美しい絵とともに、劇場仕立ての壮大な物語として描いた1冊。
お子さんによっては少し内容がむずかしいかもしれないので、「最初に読んで大まかな流れをつかむ」か、ある程度の知識が入った後で「最後に読んで総復習として活用する」か、どちらのパターンでも1度は目にしておきたい有名な絵本です。
2015年に改訂版が発行されているので、図書館などで借りる場合はご注意ください。
具体的に生物の進化を学ぶ
続いて特定の生物の進化について、深く学びたい時に適した絵本をご紹介します。
動物進化図鑑
タイトル通り、「動物の進化」に特化した図鑑。
たとえばゾウの始まりはどのような姿で、どのような形を経て進化して、現在のゾウの姿になったのかなど、見開きでドーンと紹介してくれているのでとてもわかりやすい!
「この昔の動物は現在ではどの動物?」というクイズもあってオススメ!
ゾウに至るまでの途中経過で、衝撃的な姿をした動物もいるので、ぜひ一度ご覧いただきたい!
オオカミから犬へ!人と犬がなかよしなわけ
先史時代、人とオオカミが互いを必要とした理由と、やがてオオカミが犬へと進化していく流れを描いた絵本。
孤独なオオカミの子と、ひとりの男の子が出会い、仲良くなっていくという絵本的な物語から始まるので、説明文ばかりの科学絵本は苦手だというお子さんにも読みやすいはず!
これを読んだ後、散歩の犬を見かけるたびに「君たちはもともとオオカミだったんだなぁ」と思うようになりました。
クジラの進化
5000万年前のクジラから今に至るまでの、壮大なクジラの進化を描いた1冊。
4足で歩いていたパキケタスや、巨大な爬虫類のようなバシロサウルスなど、絶滅したクジラの祖先たちの姿が、臨場感ある絵で描かれています。
巨大なシロナガスクジラと、ダイオウイカとの対決でおなじみのマッコウクジラ。同じクジラでありながら、この両者の進化はだいぶ前から枝分かれしていたことに驚きます。
「40億年におよぶ進化の歴史の中で、最大の動物であるシロナガスクジラが生きている時代にぼくたちが生きているのは奇跡」というあとがきの言葉が、心に響きます。
のんびりオウムガイとせっかちアンモナイト
恐竜時代の生物として有名なアンモナイトは、それ以前の時代に登場したオウムガイの仲間。
けれどアンモナイトは絶滅し、オウムガイは今も深海で生き延びている。それはなぜ?
せっかちだったからこそ大繁栄し絶滅したアンモナイトと、のんびりだったからこそ深海に追いやられ、そのおかげで生き延びたオウムガイ。物語を通して両者の違いを知ることができる1冊。
化石で見たことがあったアンモナイト。それが貝の仲間でなくタコやイカの仲間だと知った時は衝撃でした!
リアルサイズ古生物図鑑
リアルサイズ古生物図鑑シリーズ。
鮮魚店で魚に紛れて売られている古代生物・アノマロカリスや、公園や道端、果ては東京駅の前にいる恐竜たちなど、「日常生活の中にもしも古生物がいたら」を再現した写真がズラリ!
タイトル通り、彼らのリアルなサイズがよくわかる必見の図鑑です。
「こんなところにこんな生物がー!」と思わず吹き出してしまう写真や、あの名作映画「ジュラシックパーク」を彷彿とするような写真も?
もし地球に植物がなかったら
生命の歴史を、動物ではなく植物の視点から描いためずらしい進化絵本。
海の中で、当時は有毒物質だった酸素を作り出した植物プランクトン、シアノバクテリア。やがて植物は地上へと進出し、そこに小さな虫たちが現れ、時は恐竜時代へと突入し…。
まさに「もし地球に植物がなかったら?」を考えさせられる1冊です。
初めて地球上に「花」が誕生したのはいつだったのか。この本を読むまでそんなこと考えたこともなかったー!
とりになったきょうりゅうのはなし
近年の研究で明らかになった「羽毛恐竜」の存在や、「鳥は恐竜の子孫」であることを、わかりやすくまとめた入門的な1冊。
羽毛恐竜の生態や、なぜ恐竜に比べて鳥たちは身体が小さいのか、いくつもの「なぜ?」に対して、簡潔に教えてくれます。
改訂版が出ている本なので図書館で借りる時はご注意ください(改訂版は表紙に「改訂版」と書かれています)
鳥は恐竜だった
小さな恐竜は、敵から隠れるために藪の中や水辺に巣を作っていたのかもしれない…。
現在も同じような場所に巣を作る鳥たちの生態から、「なぜ恐竜は鳥として空を飛べるようになったのか」を考えます。
また恐竜に比べて身体が小さい鳥たち。そこから彼らが生き延びた理由も見えてくる!?
「鳥は恐竜だった」という近年の発見に対して、鳥が巣を作る場所や巣の形から、恐竜と鳥の関係について探る絵本。
大きなティラノサウルスと小さな鳥のモリツグミ。子孫を残すという意味ではどちらが強いのか、数字から見えてくる違いに驚き!
恐竜の復元
バラバラになって発掘される化石から、どうやって恐竜を復元してきたのか。学者たちの考えとともに、現在の復元までの軌跡を辿った科学絵本。
復元の参考にするのは、現在も生きている動物たちの骨格や生態!
爬虫類と哺乳類の足の付き方の違いなど、「なるほど!」と驚くことばかりの1冊です。
残された手がかりから進化を読み解くには、現存している生物の研究も欠かせないのだとわかる絵本です。
ダーウィンを学ぶ
かつて「人間は神様が作った偉大な創造物」と思われていた時代に、進化論を主張したダーウィンについて、学べる絵本をご紹介します。
ダーウィンが見たもの
福音館書店発行「ダーウィンが見たもの」。
旅の途中、アルゼンチンでメガテリウムなどの化石を見つけたダーウィン。しかしキリスト教徒の船長は、「それは聖書に書かれている通り、ノアの洪水で死んだ生き物だ」と主張し…。
ダーウィンが「進化論」に辿り着くまで、彼が世界を旅する中で見てきたものを描いた1冊。
ダーウィンが冒険家であり生物学者であったことが、よくわかる絵本です。
チャールズ・ダーウィン、世界をめぐる
ダーウィンが調査船ビーグル号に乗って、世界を旅した航海記を紹介する科学絵本。
馬で高原を駆け回ったり、火山や地震に遭遇する中で、彼はなぜ「進化論」を考えるようになったのか。のちに「種の起源」を執筆するに至るきっかけとなる、ダーウィンの旅について描かれています。
ダーウィンは教室で座っているより、野外で生き物を探すのが好きな少年だったようです。
ガラパゴス
ダーウィンが旅の中で訪れ、「進化論」に大きな影響を与えたガラパゴス諸島について紹介した絵本。
約600万年前に一つの島が生まれ、そして再び海に沈むまで、そこで暮らす生物たちの変化と進化について、読みやすいコマ割り絵本で描かれています。
ガラパゴス諸島だからこそ、生物たちが独自の進化を遂げた理由に、「なるほど!」と驚くことがたくさん!
「大きな実を割れたから、大きなクチバシのフィンチ(鳥の種類)が生き残った」など、進化の理由がとてもわかりやすい!
ダーウィンの種の起源
ダーウィンが進化論を唱えた本「種の起源」について、わかりやすく紹介された絵本。
とても噛み砕いたわかりやすい言葉で、ダーウィンの考えがつづられているので、まさに「はじめての進化論」にぴったりの1冊です。
作者からの言葉として、「魅力的な情報が多すぎてビーグル号の旅については省くことになった」と書かれているので、他の旅の絵本と合わせて読むとさらに理解が深まるはず!
絵がとてもキレイなので、絵本としてずっと眺めていても楽しい1冊です
進化の絵本から生物観察のきっかけに!
いかがでしたか?
生物の進化を知ると、今、生きている生き物たちを見る目も変わるはず!
進化の絵本が、博物館の化石コーナーや、野外での生き物観察を楽しむきっかけになったらうれしく思います。
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