春になると道端や花壇に花が顔を覗かせ、上を見上げれば桜が咲き乱れ、昆虫や生き物たちが姿を現します。
今こそ自然観察のチャンス!
特に春は散歩しただけで道端に野草や花を見つけられるので、子どもと自然観察がしやすい季節です。生き物と違って野草は動きませんし、茂みにしゃがみこんでいても、まだ蚊の心配はありません。
夏の昆虫採集も楽しいけれど、虫取り網を持って走り回らないといけないので大変!
新しい命が芽吹く春は、関連する絵本もたくさん!
「春を迎える絵本」「春の草花の絵本」「春の草花で楽しむ絵本」「春の昆虫絵本」に分けて、どどんとご紹介します!
自然観察にぴったり!春のオススメ絵本
春を迎える絵本
めざめのもりのいちだいじ
ミツバチの巣が崖から落ちそうになっているのを見つけたヤマネくんは、クマさんに助けを求めますが、寝ているクマさんはなかなか起きず…。
早春の森を舞台に、動物たちが冬眠から目覚める物語。
はるがきた
春がなかなか訪れず、暗い気持ちの街の人々。そんな彼らに、ひとりの少年が「春を待ってなんかいないでさ、ぼくたちで街を春にしようよ」と提案。男の子のステキなアイディアで、街が春色に染まり始めます。
春を待ち望む人々の高揚と、色づいていく街に心躍る絵本です。
チューリップホテル
秋からチューリップの球根を植えて、チューリップホテルの開業を準備していた5匹のカヤネズミ。木の家で冬を過ごし、やがて春が訪れ、ついにチューリップホテルがオープン!
籠を使ってお客様を運ぶ小鳥たち、花が咲き乱れるフロントやレストラン、夜には個室になっているチューリップの花の中で灯りがともる…。春の訪れの喜びと、ファンタジーな世界観が美しい1冊です。
ぎょうれつのできるはちみつやさん
まだ雪深い森に、クマのおとうさんからはちみつの便りが届きます。おとうさんは旅をしながらはちみつを集めるはちみつやさん。やがて森に春が訪れる頃、おとうさんはたくさんのはちみつとともに帰ってきます。
レンゲ、タンポポ、アカシア……さまざまな春の花から作られたはちみつが食欲をそそる、「春の味」を詰め込んだ物語。
春の草花の絵本1~野草とさんぽ
14ひきのぴくにっく
14匹のねずみの家族が、春のピクニックに出かけるシリーズ第5弾。
このシリーズのポイントは、「丁寧に描写された草花」と「ねずみの大きさから見た自然の姿」。今回もねずみたちとともに、春の野原を探検しているような気分になります。カエルなど生き物たちの姿も!
チリとチリリはらっぱのおはなし
チリとチリリの2人の少女が、自転車に乗ってさまざまな場所をめぐるシリーズ。
今回は春の原っぱが舞台。草むらを抜けた先には大きなシロツメクサ! 小さくなってしまった2人は、ハナバチの後について、虫たちの世界を冒険します。
じっちょりんのあるくみち
ちいさな生き物・じっちょりん一家は、コンクリートの隙間にせっせと種を植えるのがお仕事。
春の街を散歩するじっちょりんたちの視点から、春の草花を楽しく学べる絵本。登場する野草は、どれも街の片隅で見つけられるものばかり! さらに花の名前も添えられているので、オススメの1冊です。
じっちょりんのたんじょういわい
じっちょりんシリーズの最新作。桜の花びらが落ち、道が花びらに埋め尽くされる季節、じっちょりん一家は誕生祝いをするために移動します。
カタバミ、ナズナ、ホトケノザ……道ばたの花の間を抜けながら、目的地を目指すじっちょりん一家。ちいさいじっちょりんたちにとって、これはもはや大冒険! 春の街の風景を楽しめる絵本です。
校庭のざっ草
校庭の片隅や道端に生えている、ざっ草と呼ばれる野草たち。小さい花ばかりですが、よく見ると花壇の花々に負けない美しさ!
丁寧にスケッチされた95種類の野草が掲載され、花の色やつるの形などから、ひとつずつ名前を調べることができる1冊。 「校庭のざっ草」という小学生には身近なタイトルも秀逸!
たねがとぶ
いろいろな飛び方で旅に出る草の種を描いた絵本。
植物の種類によっていろいろな形の種。風に吹かれて飛んで行ったり、さやが弾けたり、ゆれてこぼれたりしながら、土の上に落ちた種はやがて芽を出します。春の野草を観察した後、「花のその後」の姿を学べる1冊です。
春の草花の絵本2~桜
さくらがさくと
川沿いの桜並木で繰り広げられる、自然と人間のささやかなドラマを描いた絵本。
冬の間、足早に道を歩いていた人々は、桜が咲き始めると少しずつ足を止めるようになります。やがて桜は満開を迎え、祭りの日がやってきます。読んでいると自分も桜祭りに行きたくなる物語です。
さくら
1本の桜の1年を、長年の観察にもとづいた緻密な絵と、リズム感のある文で描いた作品。
ソメイヨシノのさくらんぼってどんな形? 冬の間、さくらはどうなっているの? 花ってどうやって咲くの? さくらの基本情報を学べる、春の絵本には欠かせない1冊です。
春の主役 桜
案内人の天狗と柴犬が、桜の不思議についてわかりやすく教えてくれる1冊。
サクラ前線は一番南が早いのかと思いきや、実はそうではありません。さらに沖縄にはソメイヨシノはありません。ソメイヨシノの誕生と、ソメイヨシノ以外の桜について、さらに日本人の花見の移り変わりを学べます。
もっと知りたいウメ・モモ・サクラ
春に咲く樹木の花の中で、見分けがつきにくいウメ・サクラ・モモ。
これら3種の花の付き方や幹の違いから、見分けるポイントがわかります。写真絵本なのでさらにわかりやすい! 残念ながら絶版本ではありますが、本当にオススメの絵本なので、もし図書館などにあればぜひ読んでみてほしい1冊です。
桜守のはなし
日本全国を飛び回り、傷ついた桜の手当てをし、桜の新種を探す「桜守(さくらもり)」。その桜守の仕事について、やわらかな京都弁と写真で紹介した1冊。
桜という木は「守り」をしないといけない、ということをこの本で初めて知りました。読むと桜を見る目が変わります。天保3年創業の植木職16代目当主が、人間と自然の関係について語ります。
花まつりにいきたい
4月8日、お釈迦様の誕生を祝う「花まつり」をテーマにした絵本。
空き家に取り残された1本の桜の木。「ぼくも花まつりにいきたいなぁ」とさびしく思っていると、そこに不思議な男の子が現れます。やがて花まつり当日を迎え…。
お釈迦様のやさしさと、命の尊さを描いた物語。
春の草花の絵本3~その他の草花
チューリップ
春の花壇の代表的な存在・チューリップの成長がわかる科学絵本。
チューリップの球根を植えるのはいつ? 球根は地面の中でどのように変化しているの? どうやって冬を越す? 普段は土の中に隠れていて見えない世界を、美しく細やかなイラストで学ぶことができます。
たんぽぽ
身近な植物・たんぽぽの生態の不思議について、長年にわたる観察から紹介した科学絵本。
冬の間、葉を低くして地面に広げていたたんぽぽは、春になると新しい芽を出して立ち上がります。驚きの根っこや花の秘密など、春を楽しむ前に一度は読んでおきたい1冊。
たんぽぽのちいさいたねこちゃん
自分に自信がないたんぽぽの小さい綿毛・たねこちゃんの冒険から、心の成長を描いた絵本。
ある日突然、スズメに連れられて空に飛び立ったたねこちゃん。けれども雨に流されて、日がほとんど当たらない場所に辿り着いてしまいます。そこで出会った苔たちに、たねこちゃんはあるお願いをされて…。苔たちの名前や特徴も知ることができるのがオススメ!
つくし
つくしの不思議な生態を四季を通して描いた科学絵本。
土手や田んぼのあぜ道で見つけられるつくし。つくしの根っこをたどって掘ってみると、どこまでも伸びています。つくしが揺れると散る緑の粉とは? つくしが枯れた後に伸びる草って? 誰もが知っている春の植物、つくしの不思議が学べます。
てんきのいい日はつくしとり
はじめてのつくしとりの日、元気いっぱに家を出たちえちゃん。けれどもお兄ちゃんたちが次々に大きなつくしを発見するので、だんだん悲しくなってしまいます。やがて日も傾いた時、土手から転げ落ちたちえちゃんは、「王さまつくし」を発見して……。
巻末にはつくし料理などの作り方も掲載! 児童書の形をしていますが、絵が多くて文字は少なめなので、絵本のように読み聞かせすることもできます。
はるとスミレ
植物が大好きなはるちゃんは、スミレの花を鉢に植え替えて部屋に持ち帰りました。夜、月の光が部屋に差し込むと、鉢のスミレが動き出し「はるちゃん遊びましょう」と誘います。夜のさんぽではるちゃんが見たものとは…。
根っこで対話する植物たちの自然の営みを、ファンタジックな世界で描いた絵本。
すみれとあり
スミレとアリのように、小さな植物と昆虫が織り成す協力関係を紹介した科学絵本。
石垣の隙間に咲いていたスミレ。種はどこからどうやってやってきたのか、不思議な場所で咲くことがあるスミレ。春の終わり、弾けたスミレの種を運んでいくアリを発見! なぜアリが種を運ぶのか観察していると、驚きの事実がわかります。
ハートのはっぱかたばみ
春から夏にかけて、小さい黄色い花を咲かせるカタバミの生態に迫る科学絵本。
ただの雑草として扱われることが多いカタバミ。けれど一日の間に葉を開閉したり、暗い日には花が咲かなかったり、1メートルも種を飛ばしたり、驚きの生態がいっぱい!
ハート型をしたカタバミの葉っぱは特徴的で、身近ですぐに見つかりやすく観察もしやすいので、幼児との自然観察にぴったりの野草です。
たけのこなんのこ?
写真科学絵本「しぜんにタッチ!」シリーズ。竹の子ども・たけのこのパワーがわかる1冊。
たけのこを土から掘り出すと大きさにびっくり! 実際に皮を脱がせてみると、中身が小さいのがわかります。地面に生えたままにしておくと、なんと15日で1メートルも伸びるというから驚き! 断面写真や定点観測写真から、たけのこの生態に迫ります。
春の草花で楽しむ絵本
くさぶえあそび
福音館書店「かがくのとも」2024年4月号。
身近な草木で草笛を作る方法を紹介した科学絵本。緻密な絵に丁寧な説明が添えられているので、参考にしやすい! すぐに音が出なくても、鳴らせた時の喜びはひとしおです。
はるのくさばなあそび
「シロツメクサの花かんむりを子どもと作りたいのに作り方がわからない!」そんな方にはぜひおすすめの1冊。
花かんむりの作り方のほか、ナズナの楽器やたんぽぽの綿毛の瓶詰めなど、21種類の春の草花遊びが掲載されています。写真絵本なので作り方がわかりやすいのもおすすめポイント!
野ねずみきょうだいの草花あそび 秋から春まで
かわいらしい野ねずみのきょうだいが、身近な植物で楽しむ新しい草花あそびを紹介してくれます。
春にはたんぽぽの妖精やカラスノエンドウの飛行機など、これまで見たことがないかわいらしくも新鮮な遊び方がいっぱい! 草花遊びを通して植物と親しむことができます。
パパッと葉っぱが大へんしん!季節の草花あそび
X(twitter)で大人気の草花あそび作家・相沢悦子さんによる、かんたん&かわいい草花遊びを紹介!
「野ねずみきょうだいの草花あそび」と同じ作者さんで、こちらもたんぽぽの妖精やカラスノエンドウの飛行機が掲載されています。かわいらしいイラストタッチを好むなら「野ねずみきょうだい」、写真のほうがわかりやすいという方は、こちらの「季節の草花あそび」シリーズがオススメ!
作ってびっくり!かわいい草花あそび
「野ねずみきょうだい」「季節の草花あそび」に引き続き、草花あそび作家・相沢悦子さんの著書。
こちらは年間を通して1冊なので、季節ごとではなく1冊にまとまっている本が欲しい方にオススメ。相沢さんのモットーは「身近な草花を使う」「1種類の草花だけ使う」「なるべく簡単に」「道具は使わない」なので、特別な技術や道具は必要ないところがうれしい!
よもぎだんご
ばばばあちゃんがさまざまな料理や遊びを教えてくれる人気シリーズ。
ばばばあちゃんと一緒に、春に咲くよもぎやつくし、セリを探しにみんなで川沿いの土手へ。とってきた野草はさっそく料理! 大切な下処理を経て、美味しいよもぎだんごを作ります。
さくらもちのさくらこさん
食べものたちが主役になって動き出す、岡田よしたかさんの楽しいたべもの絵本シリーズ。
さくらもちのさくらこさんはなぜかご機嫌ななめ。おやつたちが声をかけても知らんぷり。さくらこさんのご機嫌を治すにいったいどうしたら…? シリーズ初のヒロインの登場です。桜の木の下で楽しそうにダンスするシーンは見どころ!
ばばばあちゃんのアイス・パーティ
ばばばあちゃんと一緒にいろいろなものを凍らせて、冷たい氷のお菓子を作ります。
「アイス・パーティ」のタイトル通り、夏の絵本ではありますが、物語の中に出てくる「花を凍らせた食卓用のアイスの飾り」を作るなら春がオススメ! 夏になると自由に摘める道端の花が減ってしまうからです。花盛りの春のうちにぜひ。
花・木の実・藍・野菜・葉っぱのかんたん染めもの
身近な植物の色を使って、簡単に布を染められる方法を紹介した1冊。
玉ねぎやナスなどの野菜染めはいつでもチャレンジできますが、花の色で試してみたくなったら、やはり花が多い春がぴったり! 写真やイラストで紹介されているので、初心者でも簡単に挑戦できます。(まさに私が初心者で、この絵本を見て染め物チャレンジしました)
はるのワンピースをつくりに
春の風に誘われて、さきちゃんは森の仕立て屋さんへ。そこでとっておきの春のワンピースを注文します。
「春の花ってどんな花?」「春の色ってどんな色?」どのポケットにしようか、どのボタンにしようか……さきちゃんと一緒に材料を選んでいるうちに、気分が高揚してきます。型紙がついているわけではないので、この絵本から実際にワンピースを作ることは難しいですが、「オシャレしたくなる春」を楽しめる1冊です。
春の昆虫絵本
かんたん識別!身近なチョウ
黄色のチョウは全部モンキチョウだと思っていませんか? 実はそれ、キタキチョウかも!
身近なチョウを見た目だけで見分ける本。専門的な用語は使わず、「大・中・小」に分けられた大きさや、「目についた色」から検索できるページ構成など、初心者でも直感的にわかるように工夫されています。子どもとの散歩中、「あのチョウ何?」に応えたい親を助けてくれるオススメの1冊!
くさはらこみちでおさきにどうぞ
福音館書店「ちいさなかがくのとも」2023年4月号。
男の子とお母さんが春の野原を散歩するストーリー。具体的な名前の学びはありませんが、春ならではの「あ!みつけた!」を絵本から体験できます。
ちなみにアリのページ、1匹だけ大きいアリは女王アリではなく他とは種類が違うクロオオアリ。飛び出してきたバッタはまだ子ども。表紙にもいるオレンジ色のチョウはベニシジミです。
しげみむらおいしいむら やなぎむらのおはなし
虫たちの暮らしを人間社会のように描いたファンタジー絵本シリーズ「やなぎむらのおはなし」。
野原にある野ばらのしげみに「しげみむら」がありました。そこにはハチの家族やダンゴムシたちが住んでいます。春になると、みんなで花粉団子をや蜜あめを作って「のはらのおかしや」をオープン! やなぎ村からはバースデーケーキの注文も入って大忙しに…。
くものすおやぶんとりものちょう
アリたちが営むお菓子屋に、隠れ羽という名の盗人から犯行予告が届きます。困ったアリたちは、蜘蛛の巣親分に助けを求めました。桜吹雪が舞う中、親分による捕り物劇が勃発! 果たして隠れ羽の正体は…?
虫の特徴を大切にしながら擬人化されたキャラクターはお見事! ハラハラドキドキの時代劇絵本です。
アリのけっこんひこう
福音館書店「かがくのとも」2023年4月号。
女王アリと雄アリは、一生に1度だけ、空を飛んで他の巣のアリと出会う「結婚飛行」をします。同じ地域の同じ種類のアリは、その日に一斉に飛び立つので、地上で女王アリを見つけられるのもわずかな間!
東京では一番早いクロナガアリは4月に結婚飛行するので、早めにこちらを読んで、女王アリを見つけてみてください。
よみきかせ いきものしゃしんえほんシリーズ
昆虫を中心にした生き物たちが、産卵し、卵からかえり、成長していく姿を追った科学絵本シリーズ。必要最低限の短い文章と、迫力ある写真で、リアル感満載です!
表紙から幼虫たちが載っているので、苦手な方のために表紙写真ではなく仮の画像を掲載してあります。昆虫好き&生き物キッズにはイチオシのシリーズ!
春のオススメ絵本を楽しんだら自然観察へ
いかがでしたか?
厳選してもこれだけの量がある春のオススメ絵本! ぜひお子さんと楽しんだら、春の自然観察を満喫してもらえたらと思います。
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